ご主人が亡くなられ、相続人は、奥様と長男・長女の3人。
典型的なケースでした。
普通の相続。
そんなものがあるのだろうか?そのように思うくらいに、どのケースも個別の特異要素を備えている。
今回は、代償分割という遺産分割の手法を用いて、かたち上、すべての相続財産を配偶者に移転、まだ先の長い子供たちは、、、、といってもそれぞれ自分の仕事や家族をすでにお持ちの大人であるが、、、、配偶者から預金を十分にもらうことにした。
最後は、皆さん、とっても幸せそうでした。私もうれしいのです。
いろいろ、ご意見はあるだろう。
確かに、相続税がミニマムになるソリューションではないし、奥様も亡くなったご主人とは同世代のため、いわゆる二次相続が想定されるところである。
しかし、大切なのは、お父さんを亡くした遺族が支えあって、ちゃんと生活を続けていけること。
税金が安ければよいなんて、決してそんな簡単なことではない。
私は、「税金を下げる税理士」ではない。というか、税金の節税はもちろん考慮のファクターではあるが、優先順位は、ケースバイケースで異なる。
税務判例や、裁決事例を研究していると、時には、事実を歪曲するような相続申告をしているケースを見かける。 これは、本末転倒で、せっかく幸せになれた家族が、後で困ったことになることが多い。
国に払う税金を多少少なくしたところで、それが不幸せの対価であるとしたら?
名義をいい加減にしておいて、あとでもめ事が起きて取り返せなくなったら?
お金の取り合いで、せっかくの血のつながった家族が離れ離れになるとしたら?
エトセトラ、エトセトラ。
私たちは、誰もが幸せになる権利がある。
選択の自由があるはずだ。専門家は、視野を広くして、お客さまにいろいろなプランを提示して、
説明責任を果たしたうえで、しっかりと選んでいただくのが仕事である。
税理士は、案をいくつかご提示して、どこが違うかをきちんと説明します。
間違っても、税理士に任せておいた-、とっても簡単だった-、
なんてことのないようにしましょう。
家族が亡くなったんです。もともとたいへんなことなんですよ。
相続人がお一人ならいいかもしれませんが、他人に適当に決めさせたりしちゃいけませんよ。
セカンドオピニオンで、ご遺族の意思決定をサポートさせていただきました。
頼んでいる税理士がちゃんとこちら側の意向に沿ってくれているのかしら??
そんなニーズにお応えします。
メールで基本的なデータをお預かりし、土地の評価の妥当性や、税制特例の適用の可否、選択の妥当性を検討。
いくつかご指摘を申し上げ、相続後に発生した土地の収用や、ご兄弟の生活環境の変化などを視野に入れたアドバイスをご提供しました。
実際に訪問して、ご遺族のお話を聞いて、最終方針を決定。
スピードと的確さと行動力。
そして、値段は交通費プラス日当で全部で10万円ちょっと。めちゃめちゃコストパフォーマンスがよいと喜ばれました。
プロベーションの手続きを実行しました。
海外資産は、日本のように戸籍などが整備されていないため、相続人の認定や相続財産は裁判所で確認してもらうことが必要です。ローカルの弁護士に依頼して手数料は5万円もあれば足りると思います。
今回の案件は、千葉県在住の方が生前にバンコクで企業を営んでおられ、コンドミニアム、銀行預金、現地法人の株式などを保有しておられました。
株式は、51%がタイ人株主に保有されており、これは名義株ではなかったのかという疑いもありましたが、タイ人は、自分が出捐したと主張し、書類上もそのように整備されていますから、結局勝つことはできません。会社を設立される際は、この辺りをちゃんとわかっておかないとだめですね。
形式上の持分に関しては、現在価値を評価し、その分の補償はキャッシュでいただくことができました(売却処理)。
コンドミニアムは、かなり良い値がついており、これから売却手続きに入ります。
銀行預金は、ほぼロスなく引き継ぐことができました。
日本での相続税の申告はすでに完結しており、何とか最後まで円満に行けそうです。